幕末の日本を代表する思想家であり教育者、吉田松陰。その思想は日本の近代化に大きな影響を与え、多くの人々に深い感銘を与えました。今、私は松陰の教えをまとめた本『覚悟の磨き方』を読んでいます。その中でも特に心に響いたのが、「最高の一文字」という章です。
「誠」という一文字に込められた意味
誠。この一文字をよく味わってみてください。何度でも心に刻んでください。私欲を捨てて、誠に生きましょう。年齢とは関係ありません。その覚悟ができた瞬間から、ようやく本当の人生がはじまるのですから。
この言葉を読んだ瞬間、ビビッと心に響きました。「誠」という文字には、ただの言葉を超えた深い意味が込められています。それは、他人に対して誠実であるだけでなく、自分自身に対しても正直であること。すべての行動において、私欲を捨て、真心をもって臨むことを求められています。
名前に込められた「誠」の想い
この「誠」という文字に、私の名前に込められた想いを改めて感じました。母にその気持ちをLINEで伝えたところ、こんな返事が返ってきました。
『母が「一誠」という名に出会ったのは高校生の時でした。同じ尾道北高校のラグビー部員の名前だったのですが、その人を直接見たことはありません。ただ文化祭の人気投票で「一誠くん」と書かれていたのを見て、その響きと「誠」という文字がとても素敵だと感じたのです。そんな心に残った名前を実際に命名できたこと、母としてとても嬉しかったです。沖田総司が「誠」の旗を掲げて戦ったのも、吉田松陰先生の教えからかもしれませんね。歴史には疎いのでよくわかりませんが、私欲を捨てるのはなかなか難しいものです。でも、毎日生まれ変わった気持ちで、誠実に生きたいですね。これから梅雨入りですが、通勤気をつけて。いつもありがとう。』
「誠」の心を日々に生かす
この母の言葉に、改めて自分の名前に込められた意味の重さを感じました。正直に言えば、今はまだその名に恥じている部分もあるかもしれません。しかし、これからは「誠」の心を忘れずに、母の想いに少しでも応えられるよう、日々を丁寧に積み重ねていきたいと思います。
「誠」とは、特別なことではありません。毎日の授業を真剣に聴くこと、友だちと誠実に向き合うこと、部活動に一生懸命取り組むこと——そうした小さな行動の積み重ねが、誠実な生き方につながるのです。目の前のことに心を込めることから「誠」は始まります。
「誠」の心で未来を創る
みなさんも、この機会に「誠」という言葉を意識して、自分自身を見つめ直してみませんか?「誠」の心を胸に、一日一日を大切に過ごすことで、未来は自然と輝きを増していくでしょう。今日から、あなたも「誠」の心で日々を積み重ねてみましょう。私たちが今、心に刻む一文字が、これからの人生を豊かにしていくのです。
(※)『覚悟の磨き方 超訳吉田松陰』(池田貴将編訳、 サンクチュアリ出版、2013年刊)より